文書情報マネージャー認定資格委員会 内田俊哉委員長
委員長の内田俊哉です。
委員会を発足して13年目を迎え、1100名を超える認定者を輩出してきました。その間、コロナという厳しい環境に直面し、研修の在り方もリアルな研修からオンライン研修へと変化してきました。多くの無償のセミナーが溢れている中、現場で直面している文書情報管理の在り方を真剣に学びたい受講生が有償の認定セミナーに多くの受講生が応募をいただいております。
我々、講師陣も最新の文書情報管理の内容を更新し、常に最新の情報提供ができるよう努めています。現場で課題を抱えている受講生の悩みに応えるように個別の相談会等を設けるなど、より実践的なセミナーを目指していきたいと思います。また、受講して終わりではなくSlackや研究会を通じて認定者との対話の場を多く持つことで、資格を取得された認定者が更に価値を高めていけるようなものになって行ければ良いと考えています。
1.多くの方が受講しやすいセミナーを目指して
従来は途中退席も許されず2日間フルに受講することが認定セミナーの参加条件でした。コロナ前は東京の会場でリアルに2日間フルに参加しなければならないため、地方の受講者の方にとっては認定セミナーを受講するために前泊、後泊も余儀なくされ、仕事を持っている方には参加するには大変高いハードルがありました。しかし、オンラインの受講になってからは地方の方も参加しやすくなり、関東圏以外の受講者も増えてきました。その点は確かに改善されてきましたが、仕事を抱えている受講者からは2日間フルに同じ日程で拘束されるのは厳しいとの声もあり、オンライン配信の強みを活かし、2週間ぐらい前から都合の良い時間で視聴できる動画配信自由受講コースを開設しています。
認定セミナーの最大の売りでもあるワークショップでは、お互いの文書情報管理の課題を直接確認できる場でもあり、受講者からの評価も非常に高く、この時間には動画配信受講コースの方も一緒に参加してもらうことで講義に対する質問も対応することができるようにしています。
また、文書情報マネージャー認定取得セミナーの内容は、時代の変化に合わせ、毎年更新しています。既に認定資格を取得された方も最新の講義を受講したいという希望の方には有償ではありますが、年に2回受講できる場を設けました。
受講者も当初の狙いどおり、多岐に渡ったユーザー部門の方で、管理職の方も多く参加されています。(図1.図2)
2.資格を取得してそれで終わりではなく、認定者同士の交流の場を提供
認定セミナーを受講され、認定者になった方のみを対象とし、認定者同士が討議できる場を提供して実施してきました。研究会の開催時期も認定セミナーの開催後数週間ほどで企画しています。セミナー中で認定者だけの特別な特典であり、募集も合わせて行うことで認定資格者にとっての魅力を伝えたいと考えています。単なる資格を取得して終わりではなく、職場で文書情報管理に困っている方に手を差し出すような認定者との対話を重視した施策を考えてきました。講義ごとに講義内容に対する質問受付、回答説明やワークショップにて受講者間の交流を実施し、セミナーの最後には他の人には話せないような企業の個別の課題相談ができる「個別相談コーナー」を設けて、講師との1対1での相談を受け付けています。
また、認定者だけの特典として、個別のテーマを持って開催される研究会では講義だけではなく、ディスカッションの時間を多く設けています。更にSlackを利用してその中に各テーマを設けて認定者と講師との会話の場で単発的な情報交換の場ではなく、継続的に議論し知恵を出し合う場を提供し、文書情報マネージャー認定者の価値を高めることを目的とした場としてスタートさせています。
3.最新の課題への取組み
生成AIの可能性・有用性が一気に認識され始めました。生成AIの出現で企業を取り巻く環境は劇的に変化しております。そんな中、あくまでもユーザー目線、文書情報管理の立場から、これらに対する留意点やポイントの解説に取組んでおります。私たちが日常業務をする上で、色々な場面において文書情報が活用されており、新しい技術の利用にも皆さんと議論していきたいと考えています。
4.委員会からの抱負と提言
文書情報マネージャー認定資格セミナーは、実際に文書情報(紙文書、電子文書)を取り扱っている部門、サポートする部門に属し、文書管理、情報管理について最適な方法を立案し、改善・改革に取り組むことができる人材、または、経営トップを支えるスタッフ部門、業務改革推進部門、DX推進部門に属し、幅広い人材を活かすことを目指してきました。受講動機を見ても1位に基本から応用まで学べる。2位に紙と電子の両方が学べるとあります。(図3)
昨今、行政文書のデジタル化の取組みが各省庁、自治体で始まってきており、どのように取り組んだらよいかの課題を持って受講される各省庁、自治体、学校関係者、行政機関へ提案する方の受講者が少しずつ増えてきました。そこで。受講者動機の強みを活かし、来年度に向けて、自治体向けの公文書管理セミナーの構想を模索していきたいと考えています。