近づく電子契約社会

前回、2021年7月26日に、「電子契約の未来予想図」の記事を掲載しました。

前回の記事では、「契約は締結してからが利用の本番です。また、契約が終了したとしても民法上の時効が通常10年なので、そこから10年は保管しておく必要があること。」の注意喚起をさせて頂きました。

電子署名の有効期間は通常2~3年なので、これを延長しようとすると、長期署名のタイムスタンプの付与がデフォルトになると予想しました。タイムスタンプの有効期限は10年です。それでも、10年後はタイムスタンプの延長時期を迎えます。「利用者の皆さんが安心して電子契約を利用できるサービスが提供されることを期待します。」と結ばせて頂きました。

電子契約の基本、重要事項については、JIIMAの電子取引委員会から2021年10月に「電子契約活用ガイドラインVer.2.0」が公開されておりますので、是非、ご一読頂ければと存じます。

最近の電子契約サービスの新たな動向として、私は2つの機能に着目しています。
電子契約依頼元側が、電子契約サービサーとの契約させ続けておけば、一つは、電子契約した契約書のタイムスタンプの有効期限が切れる前に、サービス提供側で自動的にタイムスタンプの期限延長を行う長期署名タイムスタンプを追加付与してくれる機能です。
もう一つは、電子契約依頼先側は、当該電子契約サービサーとの契約がなくても、依頼元が契約をしている限り、電子契約サービサーから、有効な長期署名タイムスタンプを施した電子契約書をいつでもダウンロードできる機能です。

第一の機能は、電子契約の依頼元としては、10年過ぎたら有効期限を確保するには、どうしたらいいのかという不安解消に役立つものと思います。
第二の機能により、自社が契約していない電子契約サービスでの契約を締結を求められても、新たに電子契約サービスを導入しなくても対応できる可能性が高まります。そもそも電子契約の本数が少ない場合は、依頼元からの要請にさえ応じるだけでよく、自社で電子契約サービスを契約する必要がなくなります。

このように、インフラ上の大きな課題が解決されつつあります。
いよいよ、電子契約を本格的に利用するための検討の段階に来たのかもしれません。

文書情報マネジメントについての理解も深めて有効活用を進めてはいかがでしょうか。

副委員長 溝上