西宮市保健所で戸籍謄本紛失、どう防ぐ? 戸籍謄本紛失事件
はじめに
3月4日付の神戸新聞によると、兵庫県西宮市は同日、市民1人分の戸籍謄本を紛失したと発表しました。対策案も報道されていましたので、文書情報マネージャーの視点からチェックポイントを挙げます。
発見の経緯
保健総務課によると、2月20日、市内の看護師の女性が結婚に伴い名字が変わったため、看護師免許証などの名字も変更しようと、保健所に申請書・戸籍謄本・同免許証を提出しました。
2月28日、保健所がこれら3点を県に送付しようとした際、戸籍謄本がないことに気付きました。他の書類に紛れ込んだ可能性などを考えて探しましたが、見つかりませんでした。
市の対策案
市は、受理した書類をホチキスで留めることや、県への提出頻度を増やすことなどを対策として挙げています。

文書情報マネージャー視点でのチェックポイント
JIIMAが考える文書情報マネージャーは、単なる文書の整理・整頓にとどまらず、業務推進の手段として文書の取り扱いを考えます。この視点に立つと、次の点をチェックする必要があると考えます。
1. この業務の手順書は存在するのか?
2. 今回の作業者は手順通りに行ったのか?
3. 手順通りに行わなかったとしたら理由は何か? 見直す必要はないのか?
4. 市役所内で戸籍謄本を預かる業務は他にもあるはずです。その部署の手順書は他と同等レベルか?
5. 原因分析や対策を現場任せにしていないか? 業務分析・業務改善を指導できるチームに参画してもらっているか?
6. 他の自治体の対策例を調べたか?
延岡市では、受付けた戸籍謄本を引き継ぎのために机に置いていたところ、紛失しています。大田区では、夜間になくなり盗難届を出しています。本当に対策は「ホチキス留め」や「提出頻度の増加」だけでよいのでしょうか?
このような手順を踏むことが必要ではないでしょうか
現地の状況は把握できませんが、一般論として、次のような手順を踏むことが必要と考えます。
1. 受付簿を作成する。
2. 受付が完了するまで、作業を中断しない。
3. 受付が完了した書類はクリアファイルなどに入れ、施錠可能な什器に収納する。
4. 当日の作業終了時に、2人1組で受付簿と保管書類の突き合わせを行う。
まとめ
文書情報マネージャーは、このようなアプローチを行います。製造業における生産管理と似た活動を行うとも言えます。
まずは、全員が守れる業務手順書を作成し、形骸化しないようにメンテナンスしていくことが重要です。

