自治体の公文書は誰のもの? 知事? 市区長村長? 議員? 自治体職員? それとも住民?

■国の公文書は、国民共有の知的資源

 公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)の第1条(目的)には、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである。」と規定されているので、国民のものということですね。

■自治体の公文書は、誰のもの?

 公文書管理法(地方公共団体の文書管理)第三十四条では、情報公開法と同レベルで「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」と努力義務を規定してあります。

 しかしながら、情報公開法の条例の制定率はほぼ100%であるにもかかわらず、公文書管理の条例制定率は都道府県でも約40%に留まり、市区町村では数%にも達していません。国の例に習えば自治体の公文書は住民のものの筈です。

■公文書管理規則があるから、条例化までしないでもいいのでは。

 こんな声も時々聞こえますが、規則と条例ではレベルが違うのです。
 規則は自治体の長が制定するもので、議会の議決を要しません。条例は自治体が自主的に制定する住民の権利義務等に関する法規で、議会の議決が必要となります。
 公文書は住民の知的資源なので、その管理の仕方は長に一任するのではなく、住民の代表である議員からなる議会で決めていくべきものなのです。

■大きな不祥事が起きる前に、公文書管理条例を制定しましょう。

 大きな不祥事が起きてしまった自治体では、第三者委員会や百条委員会などで原因調査を行っていると思います。そんな時よくあるのが、証拠が残っていない、意思決定プロセスがわからない、承認はしたけど中身はわからなっかたなどの問題です。
 このようなことを経験した自治体の住民の皆さんには、ただ発生した文書、作成した文書を保存しているだけでは不十分であることがわかって頂けると思います。
 第三者委員会や百条委員会の開催が必要な不祥事が起きる前に、未然防止したいことろです。
 そのためにも、公文書条例を制定し、その中に対応策を盛り込んではどうでしょうか。

 来年度からJIIMAでは、自治体向け公文書管理セミナーを開催します。システム導入と並行して、このセミナーも活用頂きたく。

 11月のJIIMAデジタルドキュメントでも以下の関連講演を開催します。