紙文書の永年保存、いつまで続けられますか?
■どんな文書を永年保存としていますか?
多くの企業では、社内の文書管理規定で永年保存としているもの、あるいはそのような規定はないが、これまで大切だと思い、または何かあったら困るから捨ててこなかったもの(実質永年保存扱いしてきたもの)があると思います。
■今、国内の組織(企業、自治体など)で、起きている困りごと
次のような困りごとを伺う機会が増えてきました。
・これまでは空き部屋や空き施設で保存していたが、そろそろ満杯で保存場所がない。
・外部倉庫を契約し保存していたが、保存委託量が増え、保存費用が膨らんできている。
このような状況になっていますので、もはや紙文書での永年保存は限界に達しています。
今回はこれらの対処方法について、以下に例示しますので、皆さんの組織や職場への適用の参考にして頂ければと思います。
■まず確認したい法定の永年保存文書
社内の文書管理規定で永年保存としていても、法律的な縛りがないことも多くあります。まずは、当該文書が法定の永年保存文書か否かを確認したいところです。さらに、どの法律のどういう条項で決められているかを確認し、記録に残しましょう。法定保存文書ではあるが、永年保存ではないケースもあるかもしれません。
これまでは社内文書規定上、永年保存とはしていなかったものについても、法定保存文書になっていないかどうか確認します。法定保存文書であった場合は、その保存期間も確認し記録します。
■永年保存していた根拠を明確にし、文書化する
・法定の永年保存を含め、これまで永年保存してきた理由を書き出して整理します。
・このような作業は、業務担当部署を中心に行いますが、法務部を含めて全社の関連部署が協力しておこなう必要があります。
■社内の判断で永年保存していたものについては、永年保存を継続すべきかの見直し
見直しの方法については、大きくわけて2つあります。
①継続して、永年保存を続ける
②有期(10年、30年)の保存期間とし、保存期間満了時にこれまで永年保存していた理由などに照らし、5年または10年の保存期間を延長する。
■現物にあたり確認する(試す)
上記②の有期保存文書について、30年以上経過しているものは実際に延長すべきかどうかを判断してみます。これで、これまで机上で検討したことが通用するか、あるいは修正が必要かを確認します。
■文書種別ごとに、順次、全面適用します。
試行がうまく行けば、対象文書種別で30年以上保存しているものについて全面適用し、廃棄可能文書を洗い出してリスト化します。廃棄可能な対象文書を洗い出した上で、関係部署にも確認してもらいます。そして、順次対象文書種別を増やしていきます。
■今後、重要なこと
長期の保存(10年、30年、その後の延長)の間に、実際に保存した文書を見た回数、その理由を記録に残し、長期保存している理由が妥当かどうかを関連部署で定期的に見直すとよいでしょう。
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