神戸連続児童殺傷事件 裁判記録 全廃棄!! これからも紙文書での保管を続けますか?

 10月20日 ショッキングなニュースが神戸新聞から発信されました。「少年Aの全記録、裁判所が廃棄、神戸連続殺傷。」

 神戸新聞によれば、『この事件は神戸市須磨区で1997年、小学生5人が襲われ2人が殺害された連続児童殺傷事件で、14歳で逮捕され少年審判を受けた「少年A」の全ての事件記録を神戸家裁が廃棄していたことが分かった。裁判の判決書に当たる少年審判の処分決定書や捜査書類、精神鑑定書など、非公開の審議過程を検証できる文書一式が消失した。最高裁による内規は、史料的価値が高い記録の事実上の永久保存を義務づけている』とのことです。

 一般的な少年事件の捜査書類や審判記録は、少年が26歳になるまでの保存が定められています。この件については、管理規準のあり方、管理方法について、これから議論があるものと思います。ここでは、そういう官の立場を離れて、デジタル時代の文書情報マネジメントという観点から気になることがお伝えしたいと思います。

 私は、大量の文書を長期に紙で残すことについて大変疑問があります。紙での保管スペースが確保できないから、文書管理の管理簿が管理しきれないからと保管期間を縮めているということはないか、今一度、議論を深めて頂きたいと思います。

 デジタル化が進展し、ビットコスト下がり、スペースの面からも文書の電子保存の負荷は、紙に比べると各段に低くなっています。例えば、3TBの2.5インチのHDDには、PDF 1ページ平均250KBで換算すると段ボールで約3300箱分を保管できるのです。

 そしてこれからは、本来いつまで保管しておく必要があるのかということに立ち戻って頂けたらと思います。
 また、紙文書になってしまったものをスキャニングして電子化する手間は過大なものになるので、最初から電子で文書を作成するのが望ましいです。

 大量の紙文書の管理は、実際にはとても大変です。通常、使用しない紙文書は、段ボール箱に詰めて保管することになります。段ボールに詰めてしまうと中身がわからなくなるので、段ボールに番号をつけて、中に何が入っているかを管理する台帳を作ることになります。これを自社建屋内の書庫で管理した場合の管理方法を下図に示します。

 盗難や侵入者を防ぐためには、本来は、書庫には、書庫管理者をおく必要もあります。利用者が、勝手に書庫内に入ることは、記録の毀損を受ける可能性が高まりますので、書庫管理者のみが書庫に入れるようにします。
 利用者の求めに応じて、必要な文書を書庫管理者が取り出してきたとしても、その閲覧は、外部から隔離した部屋の中で行って頂く必要があります。
 また、火災や水害、震災など自然災害の対応としては、写しも取っておく必要があります。段ボールが無くなっていないか、定期的に存在を確認する棚卸も必要です。

 どうでしょうか。これだけの管理を行うことは現実的でしょうか。デジタルならここまでのスペース、運用の手間はいりません。これからは、大量の紙文書を発生させるのではなく、最初から電子文書にするのが、正解なのではないでしょうか。

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