文書管理は業務改革の手段:組織を支える文書情報マネージャーの育成が鍵

はじめに

 現代のビジネス環境において、文書管理は業務記録作業や文書の保存、整理整頓作業だけではありません。文書管理は、業務を効率化し、成果を向上させるための戦略的な手段です。この戦略を成功させるには、ルール設定やツールの導入だけでは不十分です。組織全体を俯瞰し、業務上の問題を発見し、解決を支援する専門人材、文書情報マネージャーの存在が必要です。

文書管理を業務改革に活かす3つの視点

1. 文書管理は目的ではなく手段

 文書管理の最終的な目的は、業務効率の向上と成果の最大化です。文書管理を業務プロセスの一部として捉え、「文書・記録の作成や管理は何を目的としているのか」を明確にすることが重要です。

2. ルールを守るには共通理解が必要

 管理部門や間接部門からの押し付けのルールやツールは、形骸化が進みます。

現場がルールを守らない理由
① ルールが業務遂行とかけ離れており、ルールを守ることで業務が非効率になる。
② ルールの意味が伝わっていない。
③ 現場の課題解決に繋がっていない。

共通理解のためのステップ
① ルール決めにチームメンバーが参加する。
② 業務の効率化や適正化のために、常にルールや手順をアップデートする。
③ 実務に即したトレーニングを実施する。

3. スタッフ部門の現場サポート力を高める

 業務を直接的に行わないスタッフ部門は、かつては管理部門と呼ばれていましたが、現在ではサポート部門と呼ぶことも増えています。組織を守るには、社会的要求を踏まえ、適切な統制を行う必要があります。

 スタッフ部門としては、法務・コンプライアンス部門、IT・情報セキュリティ部門、総務部、財務・会計部門、環境部門などがあります。しかし、スタッフ部門がただルールを作るだけでは、現場部門はルールを無視するだけでなく、対立が生じます。

 一方で、行き過ぎた業務効率至上主義に陥ると、必要な統制が実施されず、会社の存続が危ぶまれる事態となります。各スタッフ部門には、全社に必要な統制を効かせるとともに、現場部門を支援してそれを実行させることが求められます。

文書情報マネージャーに求められる能力

 会社内の各業務は、基本的には電子や紙を問わず文書で遂行されます。口頭で済ませることは避けるべきです。したがって、各スタッフ部門からの業務に関する統制の影響は、業務を遂行する文書に現れます。
 文書情報マネージャーは、文書情報マネジメントに関する知識を有するだけでなく、業務プロセスの中で以下のポイントを確認し、現場部門を支援することが期待されています。

① 文書の効率的な扱いができているか。
② 必要な統制を実現できているか。
③ 必要なノウハウを蓄積できているか。

 一歩進んで、次の能力も重要です。

① 問題発見力
 文書情報マネージャーには、表面化していない課題を発見する力が求められます。たとえば、「複数部門で文書が重複して作成されている」「検索に時間がかかっている」といった潜在的な問題を見逃さない力が必要です。

② 解決支援力
 問題を発見するだけでなく、現場がスムーズに実行できる解決策を提供する能力が重要です。ルールを簡素化し、部門間で文書を共有する仕組みを設計するなど、各スタッフ部門と協調して実務に即した提案を行うことが必要です。

③ 多様な業務経験と柔軟な発想
 多様な業務経験があれば、各部門の特性に応じた文書管理の提案が可能になります。また、柔軟な発想によって、部門ごとに異なる課題に対応したカスタマイズを実現できます。

おわりに

 文書管理は、業務を支え、組織の成長を加速させるための重要な手段です。その成功の鍵は、問題発見力と解決支援力を持つ文書情報マネージャーです。

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