情報共有だけで、”暗黙知⇒形式知”は、進むのか?
文書情報マネジメントの役目の一つとして、「技術・情報の伝承」と「知の創造」の役に立つということがあります。
ともすれば、「文書情報だけ共有すれば、事足りる。」と安心しては、いないでしょうか。
皆さんも「暗黙知」、「形式知」といいう言葉はご存知だと思います。これは1990年代に一橋大学の野中郁次郎教授(当時)らが提唱したナレッジマネジメント理論の中にある言葉です。
Wikipediaによれば、「暗黙知は、経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識」、「形式知は、形となって表に表れているため、誰にも認識が可能で、客観的にとらえることができる知識である。」とされています。
「暗黙知」を「形式知」に変換して行くことで、「技術・情報の伝承」と「知の創造」に結びついていきます。
その具体的手法として、当初からSECIモデルが提唱されておりました。詳細は割愛いたしますが、「共同化プロセス」、「表出化プロセス」、「結合化プロセス」、「内面化プロセス」を繰り返すことで、「暗黙知」⇒「形式知」⇒「暗黙知」⇒「形式知」のループが進むとされています。
これを単純化して、「暗黙知をマニュアル化して、それをチームで共有する」と言われることも多いです。
SECIモデルというと実行のハードルは高そうに思えるのですが、マニュアル化して共有するというとさも簡単そうに感じてしまいます。その流れから、文書情報のみ共有しておけば形式知化ができると安心してしまっていることも多いように見受けます。
実は、SECIモデルでは、4つの場が必要とされています。
以下は、『識学総研【3分で理解】SECIモデルとは?わかりやすく解説!4つのプロセスとSECIモデルの導入事例(https://souken.shikigaku.jp/5227/)』からの抜粋です。
1.創発場
共同化プロセスにおいて知識の交換を行う場のことです。
暗黙知を共同化するためには、フラットで気軽なコミュニケーションを行うことが効果的と言われています。
2.対話場
各自が持つ暗黙知を、対話を通じて形式知化・概念化していきます。
3.システム場
複数の形式知を集めて共有することによって、新たな形式知が生まれる連結化において重要なのが、システム場です。
形式知を持ち寄る場は、リアルなグループミーティングなどでも良いですが、SNSやグループウェアなどのICTを活用した形式知の移転、相互共有、編集、再構築が向いていると言われています。
4.実践場
新しい知識の体得にあたる内面化に対応するのが、実践場です。形式知を得た(知った)だけではその情報の背景や文章の中に隠された意図までは理解することが難しいため、研修やシミュレーションを行ったり実際の業務の中で実践してみる、といった方法が取られます。
この場の捉え方は、各社がどんな知を生み出したいかによって多少変わってきます。しかしながら、文書情報をただ共有するだけで、知が創造されるものではなく、場の提供、その利用が必要です。コロナ前は、場はリアルなものであることが多かったと思いますが、アフターコロナの今は、場も大抵はオンラインの場にもなってきていると思います。
ビジネスのスピードが速くなった今、一番の課題は、この場の中でも一番重要な「対話場」を定着させることではないでしょうか。文書情報マネジメントの一環として考えてみませんか。
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