契約ライフサイクルマネジメントの今後

■コロナ禍で一気に進んだ電子契約の利用

 国内では、2020年1月から始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、企業や官公庁、自治体はテレワークでの業務遂行を余儀なくされました。この状況に伴い、出社しなければ実行できない業務プロセスである「押印」を回避する必要性が高まりました。
 電子契約に関連する技術やサービスは以前から提供されていましたが、従来は押印文化や導入コストの懸念から普及が進んでいませんでした。しかし、テレワークの普及とともに、電子契約サービスの利用が一気に拡大しました。

■契約書チェックサービスの充実

 電子契約の利用が広がり、契約書が電子ファイルとして扱われるようになったことで、法務観点から契約書をチェックするサービスの利用が増加しています。さらに、AI技術の発展により、契約書チェックサービスの精度と利便性が向上し、内容がますます充実しています。

■契約のライフサイクル全体から見た電子契約の位置づけ

 コロナ禍が落ち着いた現在も、電子契約の利便性が利用者に認識され、導入がさらに進んでいます。しかし、契約書の作成から締結、契約終了という一連のライフサイクルを考えると、電子契約はその中の一プロセスに過ぎません。
 そこで、契約のライフサイクル全体を電子的にマネジメントし、効率化を図る「契約ライフサイクルマネジメント」という新しい取り組みが、多くの企業で注目され、導入が始まっています。

■目指すのは、契約に関するPDCAによる社内知見の蓄積と活用

 当セミナーでは、上のような契約業務のPDCAサイクルを提案しています。それぞれのプロセスを通じて、契約に関する社内知見を蓄積し、活用することが可能です。
 生成AIの発展により、各プロセスで適切な記録を保存することで、効率化が進み、契約業務全体の精度向上、効率化やリスク管理の強化が期待されています。
1.起案・調査プロセス 過去の類似契約や契約先との過去の取引履歴を調査します。
2.審査・交渉プロセス 法務審査に加え、専門部門や関連部門と協力し、過去の経験を活用してビジネスリスクの低減・回避を図ります。
3.決裁・押印(締結)プロセス 決裁に際しては、裏付けとなる説明資料を保存します。
4.管理プロセス 契約の延長や終了、変更手続きのスケジュールや内容を一元管理し、漏れやミスを防ぎます。
5.活用プロセス 契約締結部門や関連部門が契約条件に基づいて業務を遂行し、業務効率を向上させます。

いかがですか、皆さんも自部門のレベルアップのために、文書情報マネージャー認定セミナーを受講して、基本から応用までを学びませんか。募集要項はこちら。

自治体向け公文書管理セミナーを2025年7月から開催します。デジタル時代を迎えて紙文書から電子文書へ、変革を支えるセミナーです。詳しくはこちら。