国交省 全国の鉄軌道事業者に、輪軸の緊急点検指示 ~各社で、次々判明する組み立て作業データ改ざん~
■不正発覚は、7月にJR山陽線で起きた新型機関車の車軸折損事故原因調査の中
2024年7月24日、JR新山口駅構内で貨物列車が脱線した。脱線した電気機関車の一番前の車軸が折れていた。この事故調査の中で、列車の車輪に車軸をはめ込む作業で、基準値を超える圧力がかけられたのに基準値内に収めたように数値を書き換えていたことが判明した。つまり、データ改ざんが発生していた。
読売新聞によれば、JR貨物の担当者の話として「基準値はあるにはあったが、組み立てをする車両所の機械に貼った紙や、担当者同士のマニュアルにだけ記されており、統一された社内通達とは言えない。基準値を超えた場合にどうするかも明確ではなく、口頭だけで伝えられてきた」と「基準のとらえ方がおろそかだったと反省している」とのことであった。
■令和6年9月12日 国交省から全国の鉄軌道事業者に、輪軸の緊急点検指示
これを受けて、国交省から全国の鉄軌道事業者に、輪軸の緊急点検指示が出された。
9月18日には、東京メトロ、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道からも同様の不正報告を受けている。この3社はいずれもメトロ車両に輪軸の組み立てを委託していた。そして翌19日には京王電鉄から、20日にはJR東日本からも同様の不正報告がなされた。
読売新聞によれば、JR貨物では「今後は、作業と同時に自動的にデータが出力されて事後の書き換えが不可能な機器の導入を検討する」とのことである。
■JR東海の取組み、データの事後改ざんできない仕組みは導入済み
9月14日、JR東海から今回の不正に関する点検結果が発表されている。点検結果は、以下の通りであり、少なくともデータ改ざんはされていなかったことは確認できたとのことだった。
・東海道新幹線及び在来線における車輪及び大歯車の圧入作業時の圧入力値については、機械に 自動的に記録され修正できない仕様であり、データが正しく記録されていることを確認しま した。
・東海道新幹線の車両においては、圧入力値が目安値を外れていないことを確認しました。
・一方、在来線の車両においては、車輪圧入作業において最大圧入力値が目安値を超過している輪軸が11本も見つかりました。なお、これらの11本を含め、車輪の圧入作業においては、圧入前 に車輪の内径と車軸の外径との差(しめしろ)を管理するとともに、圧入作業時に圧入力波形を 確認することとしており、安全は確保されています。
■記録管理の立場から
今回の件だけではなく、さまざまな場面でデータを改ざんして不正を行っているケースは枚挙にいとまがありません。まずは、データの改ざん防止措置を徹底してはどうでしょうか。
■コンプライアンス教育、検査体制の強化だけで大丈夫なのか
今回のそうですが、このような不正が発生すると社員のコンプライアンス教育、検査体制の強化という、どちらかというとマイナスの側面への対策に終始する企業が多いように思います。このような対策だけで十分でしょうか。私には、むしろ安全性の追求を誠心誠意やっていく、そのために技術力も高め、社員がプライドをもって仕事ができるような組織文化の育成こそが必要に思えてなりません。
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