印鑑証明書が偽造、悪用された ~ 電子契約でも重要な本人確認 ~
■印鑑証明書偽造による売上金詐欺の犯人逮捕
2024年11月16日、フィリピンから帰国の地面師逮捕のニュースが流れました。
時事通信によるとこの犯人は、「土地所有者に成り済まし売買代金をだまし取った。その際、印鑑証明書に細工をして取引先の不動産会社を信用させた」とのこと。そして、この詐欺が発覚したのは「真の所有者が、不審な土地取引の情報が流れていることを知り、不正登記防止の届け出を法務局に提出。契約締結後、不動産会社が土地の所有権の移転登記をしようとしてだまされたことに気付いた」ことです。売買契約と登記に時間差を利用した詐欺ですね。
■印鑑証明書の悪用は怖い
印鑑証明書は、不動産登記、重要な契約、連帯保証人契約などに利用されます。印鑑証明者は、実印とセットで意味をなしますが、今や3Dプリンタなどの技術進歩により、印鑑証明書の印影に似せた印鑑をわりと容易く作成できる時代です。そのため、印鑑証明書を不正に他人に入手されないようにしておく必要もあります。
また、印鑑証明書の提示を受けた場合も安易に相手を信じることは危険です。今回のケースでは、地面師側は当該の土地の予習を綿密に行い、不動産会社との対面の会議で信用させたとのことですが。
■なりすましへの警戒は、電子契約でも必要です
電子契約の場合は、大きく分けて「立会人型の電子署名」を用いるものと「当事者型の電子署名」を用いるものがあります。「立会人型の電子署名」を利用すると簡単で便利な反面、なりすましのリスクも高くなります。「当事者型の電子署名」を利用すると本人認証に手間がかかる、やや割高になるなどの傾向はあるものの、なりすましリスクは低減されます。
どちらを使用するかは、その契約の重要度、なりすまされたときのリスクなどを総合的に判断する必要があります。
■当事者型電子署名での本人確認とは
当事者型電子署名では、事前に、認証局(第三者機関)に、住民票や印鑑証明などを提出し、本人認証を行います。どのような方法で本人認証しているのかは、利用に際し確認しておくことをお勧めします。
■立会人型電子署名の本人確認とは
立会人型電子署名は、本人確認をメールで行います。そもそも、そのメールが本人のものでなかったり、アカウントを乗っ取られていた場合には、メールだけではなりすまし者からは防御できません。2段階認証を使うことも多くなっていますが、リスク対策としては限界があります。
■電子署名の本人認証に頼るだけでなく
電子契約の場合は、契約内容によって「当事者型の電子署名」または「立会人型の電子署名」を選択するだけではなく、紙の契約書の場合と同じく、いくつかの裏付けの確認を行うことをお勧めします。
取引先の会社に旧知の信頼できる方がいらっしゃる場合は、その方に裏をとるのも一つの手かも知れません。また、対面も含めるとよいでしょう。しかしながら、生成AIの進化もあるので、本人確認の方法は常にアップデートが必要と考えます。
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