マイナ保険証が別人の医療情報に紐づいた。原因は入力時ミスか?

 加藤勝信厚生労働大臣は5月12日の記者会見で、マイナ保険証を利用した際、別人の情報が閲覧される事例があったと明らかにした。そして、その原因を健康保険組合などでの入力時のミスとし、入力をする健康保険組合などに注意喚起をした。

 このニュースを聞いて皆さんはどう思いましたか? 入力者の人為的ミスが原因と思ってしまった方いませんか。入力者の入力ミスは、ある一定頻度で起こるものであり、今回のケースだけでなく、他のケースでも個々作業者に責任を押し付けようでは、このような事故はなくならないのです。

 このような場合に反省すべきは、本当はその仕事の仕方や業務設計なのです。今回の場合で言えば、マイナンバーに保険証情報・医療情報を紐づける業務設計が不十分であったことが原因で、その結果、マイナンバーが別人の保険証情報・医療情報に紐づいてしまったとするのが適切と考えますが、いかがでしょうか。

 どうですか? このように考えると責任の所在が、作業者から業務設計者になります。

 これで、やっと再発防止策が取れるようになります。

 少なくとも、業務開始時点には業務設計はしていたが、漏れていた点があったぐらいにはしておく必要があると思います。

 この問題が文書情報マネジメントとどう関係するのか。問題点を個人の責任にせず、その仕掛けに課題ありとすることで、解決できるという点で共通しています。国内で繰り返される検査データ改ざん・隠蔽事件を、個人や個々の組織の問題としたり、精神論、文化論だけを論じている間はなくなることはありません。

 また、今回のマイナンバーと保険証情報・医療情報の紐づけに近い業務は、人事情報を用いたアクセス権設定でも多くなされています。単純な入力ミスが、大きな問題につながるような業務設計は避けねばなりません。文書情報マネージャーの方々には、文書やファイルの整理・分類だけでなく、業務を理解した上での仕事の仕方を構築して頂きたく期待しております。

  上図に、このマイナ保険証の誤登録に関する各種報道機関の主な情報を整理しました。

①誤登録は、2021年10月から22年11月までで全国で約7300件発生していた。

②ミスの要因には、入力者の転記ミスだけでなく、本人からマイナンバーの申告がない場合、住民基本台帳の情報照会等を使って調べていた。その際、氏名、生年月日が一致・類似しているケースがあった。

③対策として、厚労省は以下、3点を行った、行う予定である。

・4月、保険者に対して通知を発出し、氏名のほか生年月日や性別、住所など5項目をチェックするよう求めた。

・省令も改正し、保険者と被保険者の橋渡し役となる事業主に対し、資格取得届の提出時にマイナンバーの記載を義務化する。改正省令は6月に施行する。

・今後、システム改修も予定する。

 転記ミスについては、ダブルチェックやツール(AIOCR,RPA)を使って、根絶してもらいたいところですね。

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