「DX」という言葉を使っているのは、日本だけ? ~JIIMA 65周年記念講演を視聴して~
2023年11月14日、JIIMA 創立65周年記念講演を開催しました。講演の内容は、11月30日まで配信中です。まだご覧になっていない方は、是非ご視聴頂ければと思います。
その中で、富士通のエバンジェリスト松本国一氏とJIIMAの勝丸泰志理事長が、同じような問題意識を持っておられると感じた部分がありましたので、今回は、取り上げさせて頂きます。
松本氏は『デジタル化が加速する世界と日本の「これからのデジタル化」』という講演の中で、「世界は”DX"という言葉を使っていない。しかし、デジタルで世界が進化するのに対し、デジタルが進まない日本という実態がある」と警鐘を鳴らされていました。
勝丸理事長は『JIIMAの歩みと70周年に向けて』という講演の中で、「DXに必要なデータはどこにあるのか? フロントオフィスにあるのであろう。日本では電子帳簿保存法対応を代表的なものとしてバックオフィス中心からDXが進んでいるが、米国では既にフロントオフィスを中心に価値を生み出すDXを進めている」と分析していました。
この2つの警鐘と分析は、いずれも日本でDXが進んでいないということを指摘している点で共通しています。
松本氏は、その要因として「手段に拘る日本、目的を実現する世界」を取り上げています。
経済産業省が折角、旗を振り応援してくれているDXですが、その成長のステップとして「デジタイゼーション」(紙の単純なデジタル化)、「デジタライゼーション」(個別業務プロセスのデジタル化)、「デジタルトランスフォーメーション」(ビジネスモデル変革)がよく知られています。私には、これに沿って進めるとまさに「手段に拘る」になってしまうように思います。
世界標準は、このようなステップアップではなく、デジタル前提で何をしなければいけないかを考える時代に突入しています。その土俵で各国各企業が競いあっているということの理解が必要なのではないでしょうか。
デジタルで考えると言っても、普段、紙でオペレーションしたり、極簡単なITツールしか使用してい企業の中にいて、デジタル前提として考え、戦略を練れと言われても無理筋にも感じてしまいます。まずは、時代にマッチしたデジタルツールの使用体験をする中でデジタルで考えるを身につけていくのが常道のように思えます。
類似の例として、英会話があると思います。英文法に忠実にいつも日本文を作ってから英語に翻訳していたのでは、いつまで経っても英会話ができるようにはなりません。これは、皆さん合意なさるところだと思います。すなわち、英語で考え、英語で会話し、体験してこそ、英会話力が伸びます。
DXも同じでしょう。デジタルに触れ、デジタルに慣れた上で、何をすべきか、どうしたら勝ち残れるかを考えていくのが重要で、注力するところではないのでしょうか。
若い世代の人口が減ってきています。つまり、人的リソースがどんどん減ってきているのです。業務効率向上で、コストが幾ら下がったという評価の他に、付加価値を高めることに人的リソースを割ための投資、そういう考え方もこれからは重要になるのではないでしょうか。
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