「これからの文書情報マネジメントを考える」その3
1.「文書情報の共有」と「文書情報の記録、保管・保存」を分けて考える。
電子文書をどのようなシステムで、保管・保存するか、活用するかということを考える際に、重要な視点があります。
一つは、その「文書情報」を共有するのが目的なのか。
もう一つは、その「文書情報」を記録、保管・保存することが目的なのかと。
その2つをきちんと区別して、考える必要があります。
2.「文書情報の共有」と「文書情報の記録、保管・保存」を混ぜるとどうなるか。
「文書情報の共有」と「文書情報の記録、保管・保存」を混ぜるとどうなるか。
一番わかりやすいのは、ファイルサーバーで両者をごっちゃ混ぜにした場合です。
ファイルサーバーは、「文書情報の共有」、「文書情報の記録、保管・保存」としての機能も中途半端ですので、探しづらい上に記録も削除や変更を受けやすく、「ごみ屋敷化」が進みます。
3.文書情報の記録、保管・保存には特別な仕掛けが必要
文書情報の記録、保管・保存には特別な仕掛けが必要であることについては、令和4年1月から施行の「電帳法改正 電子取引」の要件により、皆さんの理解も広まったかと思います。そうはいっても、記録の改ざん、隠蔽防止対策には、その改ざん等に発生リスク、記録の重要度などを鑑みて、用途に応じたレベルであることが必要です。
4.文書情報の共有を分けることで、ごみ屋敷化が防げる。
記録については別途残しているので、文書情報の共有では、その時点を中心に必要な文書情報だけを共有します。利用頻度の少ない文書情報を削除しても大した問題にはなりません。利用頻度が少なくても残すべきものは記録、保管・保存されているからです。
5.文書情報管理の新潮流
「文書情報の共有」と「文書情報の記録、保管・保存」を区別するだけではなく、これからは、その間を円滑に移動させることが必要になります。
すなわち、図1①のように「情報共有」している情報を効率的に「文書情報の保管・保存」として登録すること。
図1②のように、「保管・保存している情報」を活用するために、効率的に「情報の共有」に吸い上げること。
これらの手段を持つことで、文書情報はより企業価値の向上に貢献します。
いかがですか。あなたの会社でも本気で文書情報マネジメントに取り組みませんか。
副委員長 溝上