部門責任者の方へ。これが、記録管理の仕方の重要3点です。

 今回は、文書情報マネジメントの中でも知識系として基本的な「記録管理の仕方」について、3点紹介いたします。

 1つ目は、記録とは一旦、登録した後は訂正・削除をしないものであるということを認識し、これを部内のコンセンサスとすることです。

 単に、記録を訂正・削除する行為は、実は「改ざん」「隠ぺい」の行為をしている認識を持ちましょう。

 そうは言っても記録を訂正したいときは、どうすればいいのでしょうか。
 それは、元の文書には手を付けずに、訂正した文書を新たに登録し、それを管理台帳に記載する。削除の場合は、管理簿上、削除と印をつけることで解決していきます。

 当然、訂正・削除の管理は、少なくとも責任者のみが行う必要があります。

 これは、紙でも電子でも同じです。紙書類に押した日付印のバックデートのために、再印刷して日付印を押し直して、もとの書類を廃棄するのは、立派な「改ざん」行為になります。

 2つ目は、事務処理規定に頼る記録の訂正及び削除の防止の危うさを認識し、これを部内のコンセンサスとすることです。

 電子帳簿保存法における電子取引データの保存では、「事務処理規定による訂正・削除の防止」も許しています。ただし、国税庁の電子帳簿保存法のパンフレットには、「その定めに沿った運用ができること」という条件も記載されていることに留意が必要です。

 事務処理規定を利用する場合に限らずシステムを利用した場合でも、「改ざん」「隠ぺい」を受けるリスクはあります。「記録の価値に応じて、どこまでの手立てを対策としてするのかを検討する」ということを習慣化しましょう。

 性悪説とまでは、言いませんが、人為的ミスや出来心程度は最低限想定した管理方法が必要です。例えば、図1のようなファイルサーバーの権限設定をよく見かけます。自部門メンバーのみRWの権限を付与する方法です。このような設定の場合、自部門の記録が、他部門から変更・削除を受けることはありませんが、自部門メンバーはいつでも記録の変更・削除ができてしまいます。すなわち、事務処理規定で訂正・削除を禁止していても、不注意や怠慢、出来心から、データは簡単に変更や削除を受けてしまいます。少なくとも+αの対策は欲しいところです。

 3つ目は、紙による記録管理の危うさを認識することです。
 重要な紙文書については、多くの会社の文書管理規定で「キャビネット等の施錠のできる保管庫で施錠管理すること」と類似の規定があると思います。

 しかしながら、この程度の運用レベルでは、記録の修正・削除の防止という観点では不十分であるという認識を持って頂きたいと考えます。
 どこにリスクがあるかと例示しますと、

①鍵の在りかが、他者にばれてしまうリスク

 ・鍵を他者に勝手に使われると改ざん・隠滅(廃棄)は容易にできる。

②保管庫から取り出したファイルを自席等に持ち出すリスク

 ・自席等に持ち帰ると改ざん、差し替え、隠滅(廃棄)は容易にできる。

 では、紙の場合は、記録の修正・削除の防止するために、どのようにすればよいのかということを考えますと、図2のように保管庫だけでなく閲覧室等を設ける必要があります。また、鍵は別の第三者に預けておくことがよいと思います。

 このような管理は、紙が記録の主体であった時代には存在しましたが、今や現実的なところでは極めて困難と考えて頂ければと思います。

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