社長さん、市長さん、ビネガーシンドロームご存知ですか?

■ビネガーシンドロームは、料理の話ではありません。

 ワインからつくるワインビネガーやリンゴ酒からつくるシードルビネガーなど、酒のアルコールが酢酸菌の働きで酢酸に変わることによってできる発酵調味料がビネガーですが、ビネガーシンドロームは料理の話ではありません。

■ビネガーシンドロームは、マイクロフィルムの劣化現象です。

 ビネガーシンドローム(ビネガー症候群)とは、アセチルセルロース(セルロースアセタート)を使った製品が経年による加水分解で変性・変形することを指し、その際に酢酸が生じるため酢酸臭を伴います。そして、マイクロフィルムの中にはセルロースエステルをベースとしたTACベースフィルムがあります。このマイクロフィルムの加水分解が進むと酢酸臭が発生するようになります。

■社長さん、市長さん、マイクロフィルムで記録をしていませんか

 これまでは、30年以上の記録保存というとマイクロフィルムを利用しているケースが多かったです。社長さん、市長さん、自社で、市役所で、記録をマイクロフィルムで保存してないか、是非一度、確認してみることをお勧めします。

 そして、マイクロフィルムを使用している場合は、マイクロフィルムの保存庫で酢酸臭がしていないか確認してみてください。酢酸臭がしているとビネガーシンドロームが進んでおり、対策は待ったなしとなります。

■ビネガーシンドロームで、マイクロフィルムはどうなるか

 ビネガーシンドロームが進行すると次のような状態となり、劣化が進んで行きます。一度、劣化が進むと元には戻せなくなります。すなわち、記録を失うことにつながります。

①フィルムが丸まってくる。
②ひび割れてくる。
③白い粉が出てくる。
④溶けはじめてくる。
⑤粉々に分解してくる。

■何故、ビネガーシンドロームが発生するのか

 室温での保存では、TACベースのマイクロフィルムは長期保存条件を満たしておらず、加水分解で劣化が進むからです。
 長期保存するためには、温度21℃以下、湿度15~40%であることが必要です。この環境を維持するためには、特殊な設備を導入するか、特殊な設備を持った外部倉庫を利用する必要があります。

■ポリエステールベースのマイクロフィルムも保存環境は厳しい

 マイクロフィルムには、ポリエステールベース(PETベース)のものもありますが、こちらでも長期保存条件は厳しく、温度21℃以下、湿度30~40%であることが必要です。こちらも室温では、劣化が進みます。

■マイクロフィルムに記録されているのは重要な文書です

 長期保存の対象の記録は、通常、重要な文書です。この対策は、ボトムアップではなく、トップダウンの指導力が必要ではないでしょうか。

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