マンション管理組合さん、設計図書、竣工図書は電子でもらおう!

■マンションの設計図書、竣工図書は、施工会社が保存している?

 マンションは、一体、何年後に建て替えするのでしょうか。30年は長期修繕計画を立てておかねばならないとも言われていますが、少なくとも50年程度は立て替えずに、修理しながら使っていくことになります。
 この間、マンションの建築物にトラブルが起きたり、改修が必要な時はマンションの設計図書や竣工図書を見て確認を取る必要がある筈ですが、そのような図書や図面は誰が保存しているのでしょうか。

 「マンションを建てたのが施工会社だから、施工会社が持っていてくれるのではないか?」などと考えてはいないでしょうか。

 いえいえ違います。施工会社は建築業法で10年保存が義務付けられているのみなのです。つまり、マンションの住民が自分事として、マンション管理組合で責任を持って保存する必要があります。

 誰ですか? マンション管理会社に任せておけばよいなんて言っている無責任な人は。

■タイムスタンプの押下が電子化の妨げに

 設計図書の電子保存は2005年に施行された「e-文書法」によって可能となっていましたが、電子署名、タイムスタンプが必要ではないかということから、普及が進みませんでした。

 これに対し、2021年9月に建築士法および同施行規則が改正され、設計図書への押印は不要となり建築士の記名のみで良いこととなりました。

■タイムスタンプの縛りがやっと外れました

 JIIMAウェビナー(2024年6月開催)にて、JIIMA建築市場委員会から発表がありましたように、「これに対し、2021年9月に建築士法および同施行規則が改正され、設計図書への押印は不要となり建築士の記名のみで良いこととなり、『e-文書法国交省令』も改正されました。以前は電磁的記録の場合、押印に替えて電子署名が必要としていたところ、この電子署名も必須ではなくなりました。また、電子署名が必須ではなくなったので、電子署名の有効期間を延長する目的でのタイムスタンプも不要となりました」となっています。

■電子化の推進が期待される設計図書、竣工図書

 それでも、建築士事務所の開設者が自らの責任において、15年間の保存義務は継続するため、保存すべき設計図書の原本の管理と、これが15年間にわたり作成時と同じ状態であることが確認できるようにする措置の判断・実施は残りますが、これまでよりグッと電子保存のハードルが下がったことは確かです。そうなると、設計図書、竣工図書も電子でもらいやすくなります。

マンション管理組合が、設計図書、竣工図書を電子で保存するメリット

 設計図書、竣工図書を紙文書や紙図面でもらうと量が多いこと、図面が大判であることから、管理組合役員もそれを直に確認することなく、どうしても普段利用する管理会社任せとなってしまいます。何故なら、管理会社用にもう一部印刷するというのは、極めてやっかいと感じるからです。

 これに対し、電子化して録画用ブルーレイディスク(BD-R)などで提供されると、媒体一枚とコンパクトになりますので、管理組合でも保存可のサイズになります。こうなれば、管理会社にはコピーした媒体を渡して使ってもらうことで済みます。また、火災、地震、水害対策の観点からも管理会社だけに重要書類、図面を置いておくという最悪の事態を避けることができます。

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