第4回 「令和3・4年度税制改正 電子帳簿保存法」について

電子取引データの保存義務と2年間の宥恕措置について

はじめに

 令和4年1月1日より、電子取引情報のデータでの保存義務がスタートしました。
 しかしながら、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間は宥恕措置として、データでの保存対応が間に合わないなどやむを得ない事情がある場合は、データを出力した書面を税務調査の際に提示・提出できるのであれば、データ保存要件を満たさない状態でのデータによる保存や出力した書面による保存が認められます。
 ついては、電子帳簿保存法(以下、電帳法)上、当該措置の適用を受けるための条件や保存方法等について、以下のとおり解説します(なお、マイクロフィルム保存は殆ど事例が認められないことから、説明を割愛します)。

1 電子取引に係る法令改正(令和3年度改正)

令和4年1月1日からの電子取引について適用開始。
(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)旧電帳法 第10条  所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った
場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
新電帳法 第7条  所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
【ポイント】基本的な考え方として、令和3年度電帳法改正において、ただし書き部分(出力書面等による保存も認められる)が削除(廃止)されたのみであり、原則電子取引データを要件に従ってデータ保存しなければならないことについては、従前から変更ありません。

2 宥恕措置に係る法令改正(令和4年度改正) 

⑴ 法令改正内容
令和3年12月27日 財務省令第80号
(経過措置)
第2条第3項
 この省令の施行の日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合における新令第4条第3項の規定の適用については、同項中「証明したとき」とあるのは「証明したとき、又は納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているとき」と、同項ただし書中「当該事情」とあるのは「これらの事情」とする。
 この省令は、令和4年1月1日から施行する。

以降の内容は下記pdfの2ページ目からご確認ください。

誌面PDF