「これからの文書情報マネジメントを考える」その4
「迷ったら捨てる」の時代からのパラダイムシフト
1.「迷ったら捨てる」の時代
「文書管理」というと、これまでは「文書(紙)や電子ファイルの格納場所が不足してきたから、不要な文書やファイルは捨てましょう。」という活動だと理解されている方も多いと思います。
これは、「文書管理」というよりも「文書整理」です。
この時、「迷ったら捨てる」という魔法の言葉があります。そもそも整理している人にも不要か必要かの判断がつかないことが多いので、この言葉を信じることで、ドンドン捨てることができます。
これには、やむをえない事情もありました。紙の場合は、オフィススペースに限りがあり、且つ、スペース単価が高いからです。ファイルサーバーの場合も、比較的ビットコストが高く容量制限を厳しくせざる得なかったのです。
2.ビットコスト低下によるパラダイムシフトとは
これまでは紙にしても、電子にしても入れ物の容量に制限があることから、「法定保存文書」は残すが、後は優先順位の高いものから残しておきましょうというのが実態でした。
しかし、ビットコストの極端な低下、クラウドの場合は固定のサービス利用料で容量無限大まで利用できる時代となってきました。
そうすると、何が変わるかを考えてみます。少なくとも次の2点は変わってきます。
①【従来】優先順位の高いものから残す。
→【今後】必要なものを残せる。
②【従来】容量の制限から保管期限を決める。
→【今後】将来の活用やリスク対策を考えて保管期限を長くできる。
3.企業では何がかわるか?
この環境変化が企業に及ぼす影響を考えてみます。
特段、不自由になる訳ではないので、従来のまま「旧態依然」という選択肢ももちろんあります。
一方、この環境変化を自社の競争優位のために利用するという考え方もあります。
ここは、各社が取り組んでおられるDX(デジタル・トランスフォーメーション)に通じていきます。
何が必要なものか、どう活用していけばよいのかというところは、いくら文書を眺めていても答えを導きだすことは困難です。会社として企業価値を上げる、品質を高めるというような目標をもって、トップダウンで従業員に浸透させていった時、答えが出るものと思います。
4.「迷ったら捨てる」からの脱却
このような段階になりますと、「迷ったら捨てる」というような場面は、極めて少なくなります。
そもそも必要なものを必要な期間残しているからです。すなわち、残す前に必要かどうか考えるようになるからです。
逆に各業務部門、経営者は今がよければよいという発想から、将来を考えてどうしておくと考える習慣が必要になります。また、活用しないと残すだけでは意味がないので、検索手段の充実や、社内の情報はどこで管理してるのかというMAP作りも重要になってきます。