RIMマネージャーをご存知ですか?

はじめに

 RIMマネージャーという言葉をご存じですか。RIMは、Records and Information Management(記録と情報のマネジメント)の略です。RIMマネージャーは、RIMを推進するマネージャーです。

 アメリカでは、政府機関、自治体、そしてある程度の規模を持つ企業では、RIMチームやRIMマネージャーが組織に組み込まれています。このようなRIMマネージャーの育成や相互コミュニケーションに橋渡しをしているのが、ARMA International(Association of Records Managers and Administrators)です。

 ARMA東京支部によれば、ARMAは、1955年に設立され、米国やカナダを含む30か国に約11,000人の会員がおり、150の支部を持っています。アメリカでは、業務や業界内での転職を通じたスキルアップが一般的です。ARMAもRIMマネージャーのネットワーク作り、コミュニケ―ションに大いに貢献しています。一方、日本では今のところ、RIMチーム、RIMマネージャーを明示的に組織に取り入れている企業はまだ少ないです。

RIMマネージャーとは

 RIMマネージャーの主な役割は組織の記録や情報資産を効率的かつ安全に管理し、ビジネスの運用や法的な要求に対応できるようにすることです。以下に代表的な業務項目を挙げます。

情報の整理と分類

データの保存・アーカイブ管理

コンプライアンス対応

情報セキュリティとリスク管理

情報ライフサイクル管理

電子記録システムの導入・管理

トレーニングと社員教育

内部監査とパフォーマンス評価

 RIMマネージャーはこれらの業務を単独で行うのではなく、IT部門、法務部門、総務部門、情報セキュリティ部門などと連携し、各部門と調整しながら進めます。

RIMマネージャーの導入パターン

1. 全社的なRIMマネージャーが1人または少数で管理するケース

・各部門には、「情報管理の担当者」がいて、RIMマネージャーと連携する形で運用されることが多いです。

2. ハイブリッド型(中央管理+各部門の担当者連携)

最近では、多くの企業で採用されています。

•各部門には「情報管理の責任者」がおり、日常業務はその担当者が推進します。

中央のRIMチームが定期的に各部門とミーティングを行い、ポリシーの順守状況を確認します。

RIMマネージャーに必要なスキル

RIMマネージャーには、情報管理や文書管理の知識を加えて、以下のスキルも求められます。

1.コミュニケーション能力

•各部門と効果的に連携し、情報管理の重要性を理解してもらう能力 。

•難しい概念をわかりやすく伝える能力。

2.ファシリテーション力

•会議やワークショップでの意見のまとめ、部門内の意見を調整しながら決着を図る能力。

•対立意見や紛争を整理し、チームを目標達成に導く能力。

3. タイムマネジメントと優先順位の設定

•多くの情報プロジェクトや課題に対して、適切な優先順位を設定し、スケジュールを管理する能力。

4. 問題解決力

•情報漏えいやデータ不足など、突発的な問題に迅速に対応し、解決策を見出す能力。

5. 変化対応力

•テクノロジーの進化や規制の変更に柔軟に対応し、社内プロセスを見直す能力。

日本企業における課題:部門間の連携不足

 これまでの多くの日本企業では、IT部門、法務部門、総務部門、情報セキュリティ部門部門間の連携が弱く、相互に関連する事案に関して適切な対応が取れないことが多くありました。

まとめ

 米国の企業がRIMマネージャーを活用して法規制対応や情報管理コストの削減に成功しているのは、情報を保管するだけでなく、情報をビジネスの競争力に変えるための仕組みを整えているからです

 日本企業も、情報管理のあり方を再検討し、次世代のビジネス基盤を構築する絶好のタイミングに来ています。

 JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の提唱する文書情報マネージャーの考え方は、日本の現状に即したRIMマネージャーとも言えます。

 ぜひ、皆様の組織でも文書情報マネージャーの育成をご検討ください。

いかがですか、皆さんも自部門のレベルアップのために、文書情報マネージャー認定セミナーを受講して、基本から応用までを学びませんか。ぜひ募集要項をご確認ください。