自治体の公文書管理も総務課だけでなく、庁内一致団結で推進を!

はじめに

 公文書管理法では、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、主権者である国民が主体的に利用できるものとしています。そして、この法律の目的として以下の2点を掲げています。

・行政が適正かつ効率的に運営されること(行政の適正・効率的な運営)
・国および独立行政法人等の活動を国民に説明する責務を全うすること(国民への説明責務の全う)

 この理念を自治体に当てはめれば、「国民」を「住民」に、「国および独立行政法人」を「自治体」に置き換えることができます。つまり、公文書管理は「住民に信頼される自治体運営の根幹を支える重要な業務」であると言えます。
 しかし、自治体における公文書管理の多くは総務課が担っており、他の部門は「文書の作成」や「管理方法の遵守」にとどまりがちです。この状況を変え、庁内一致団結で取り組むことが重要ではないでしょうか?

 以下に、そのポイントを3つ挙げます。

1.手段と目的を取り違えないこと

 自治体における公文書管理の目的は、「行政の適正・効率的な運営」と「住民への説明責務の全う」です。そして、公文書の管理自体はそのための手段であり、目的と手段を取り違えないことが大切です。

2.地方自治体における内部統制の推進

 地方自治法第150条では、次のように規定されています。

「財務に関する事務その他総務省令で定める事務」

「その管理および執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として、当該首長が認めるもの」

 これらに対して、管理および執行が法令に適合し、かつ適正に行われることを確保するための方針を定め、それに基づいて必要な体制を整備しなければならないとされています。

 これらの業務設計や体制整備について、民間企業では内部統制室が事務局となるケースも多いですが、自治体ではそのような事務局を持つことが少なく、財務部や各部門で対応している場合が多いようです。この場合、公文書管理はエビデンス管理の一環に過ぎません。そのため、業務そのものの統制や改善については、総務課ではなく財務部や各担当部門が取り組む必要があります。

 また、内部統制の品質を確保するためには、第三者によるチェックを導入しなければ、自己評価に偏り、見逃しが多発する可能性があります。

3.「行政の適正・効率的な運営」と「住民への説明責務の全う」の実行

 現在、デジタル化が進んでいるため、これらの目的を達成するには情報システム部門の知見が欠かせません。個々に検討を進めるだけでなく、業務改革室やDX推進室を設置し、庁内全体をリードする体制が必要です。

 最終的には、職員全員がこれらの目的を理解し、それに向かって行動することが求められます。この際、重要なのは部門間や業務間に生じる隙間です。部門主義に陥ると隙間ができ、不具合が発生します。お互いに業務を重ね合わせ、補い合うことで、スムーズに進むでしょう。

 まさに、「庁内一致団結」が必要です。

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