クラウドストレージの中も、ごみ屋敷にはなっていませんか? ~せっかく、ファイルサーバーから移行したけれど~
■ごみ屋敷化したファイルサーバー
ファイルサーバーを使用している企業の殆どで、ファイルサーバーがごみ屋敷となっているという声を聞きます。ごみ屋敷とは、必要なものが見つからず、不要なもので溢れかえっている状態です。そんな対策として、属性設定、検索機能が優れたBoxやSharepointOnlineなどの高度なクラウドストレージを導入した企業も多いと思います。
■高度なクラウドストレージの導入で、ごみ屋敷状態は解除されましたか
高度なクラウドストレージを導入してから3年程度経てば、そろそろその結果も出てきている頃と思います。導入当初は「高度なクラウドストレージには、属性設定や検索機能が優れているから、フォルダー構造に気を使わなくてもよい。必要なファイルは見つけられる」という声も大きかったことと思います。
現実はどうですか。従前のファイルサーバーのときと同様のごみ屋敷状態となっていませんか。
■ファイルは見つけられればよいというものではない
ファイル名に内容がわかる程度に長い名称をつけておけば、ファイル名検索で見つけられるとか、全文検索を使えば必要なファイルを見つけられるという論もありますが、実務を行っている立場からは、違和感があるのではないでしょうか。
実務者の立場からすれば「いちいち検索などしなくても必要なフォルダに辿りつく。そこで仕事ができることこそ大切で、いちいち検索していては業務効率は上がらないよ」ということですね。
業務効率を上げるという観点からは、適切なフォルダ構造設計は欠かせないといえます。
■紙文書の場合のフォルダ階層
紙文書の場合は、下図のように複数のファイル棚が事務所内にあり、それぞれに部署名、業務大分類などを記したラベルを貼付けてあります。業務担当者は、当該業務に関連したファイル棚を開くとバインダーの背表紙にタイトルがついているので、必要なバインダーを取出して業務を進めます。
このように見ますと、紙文書の場合のファイル階層はファイル棚→バインダーの2層が基本となっています。
必要な文書にアクセスするには、その文書を綴じているバインダーを取り出すことで実現できます。
■電子文書の場合
これに対し電子文書の場合は、フォルダを使って階層構造が自由自在に作れます。電子文書の場合、下の左図のようなフォルダ構造になっている場合、必要なPDFが青色のフォルダの下にある場合、最悪、フォルダ構造を辿り、青色フォルダを開けるまで、そこに必要な文書があることがわかりません。
このようなことを避けるため、よくフォルダの段数を制限しましょうということになります。
■担当部署目線で見て、紙文書の管理のアナロジーで考えてみます。
ここで各担当者がそれぞれの考え方でフォルダ階層を深くして行ってしまうと、複数人で仕事をしているときやあるいは業務引継ぎのとき、うまく情報が共有できず、文書を探すことになり業務が非効率となります。
ということで、対策としてまずは、基本のフォルダとしてバインダーと同じ程度に業務を細分化した一つのフォルダを考えます。そして、これらを束ねるファイル棚相当のフォルダを想定します。
紙文書と違い電子文書では、物理的な制約がないので、同じ内容の文書を綴じるのに、バインダーなら入りきらないからと分冊にしたり、ファイル棚に入り切らないからとファイル棚を分ける必要がありますが、電子の世界では不要です。バインダー相当のフォルダを緑色、ファイル棚相当のフォルダを赤色で表すと、上の右図のようなフォルダ構造となります。
このようにして、各業務で使い易い、覚えやすいフォルダ構造にし、通常業務の中では検索という煩わしい作業を行わずとも業務が進むようにします。
■まとめ
高度なクラウドストレージを導入しても、フォルダ構造設計が大切であることわかっていただけたでしょうか。
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