今こそ! 公文書管理条例を制定しましょう。
■公文書管理法と自治体の関係
公文書管理法の正式名は「公文書等の管理に関する法律」で、平成21年度に公布されています。第34条(地方公共団体の文書管理)には「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」と自治体に努力義務を課しています。
■公文書管理条例の制定率
平成30年3月の総務省調べでは、公文書管理条例制定率は、都道府県で10.6%、指定都市では20%、市町村では0.7%であり、その後も若干増えてはいるがまだその比率は高くありません。神奈川県下では、令和6年4月1日現在、34市町村の中で条例制定は3市に留まっています。
■情報公開条例の制定率
これに対し、情報公開条例制定率(平成30年3月の総務省調べ)は、都道府県では100%、指定都市では100%、市町村では100%であり、周知徹底されています。
■この差は、どこから来ているのか?
情報公開が公文書管理より大切だから、この差が出ているのでしょうか?
よく公文書管理と情報公開は、車の両輪とも言われますが、どうでしょう。
いくら情報公開条例があっても、そして立派な情報公開システムがあっても、そもそも公開の元となる公文書が作成されていなかったり、恣意的に短い保管期間が設定されていたら?
そうです。情報公開は空回りしてしまいます。
■公文書管理条例は、車の前輪!
必要な公文書を作成し残しておいてこそ、情報公開が生きてきます。その意味では、まず公文書管理条例で必要な公文書を作成、それを残すことが先であり、これが「車の前輪」ですね。
そして、その前提の元に「車の後輪」ともいえる情報公開を使うということになります。
■今こそ、公文書管理条例を制定しましょう。
やっと公文書の決裁、保存もデジタルの時代になってきました。これまでは紙文書の時代でした。公文書を残すと言っても、事務所で作成した公文書も2年経てば文書保管箱に入れて、書庫送りという運用でした。そして既に書庫は満杯状態。もうできるだけ残す文書を減らしたいという気持ちが、庁内では働いていたことと思います。
しかしここにきて、デジタル化の進展で公文書の作成、決裁、保存を行政文書管理システムで運用できるようになってきました。これにより、スペースの問題が解決しつつあります。
これまでは「公文書管理条例」を制定すると残す文書が増える、つまり、スペース問題で躊躇していたかも知れません。しかしながら、やっと「公文書管理条例」を制定し、必要な公文書は作成し残そうと言えるフェーズに入ったと思います。
■来年度から自治体向け公文書管理セミナーを開催します。
当委員会では、来年度から自治体向け公文書管理セミナーを開催します。少しでも公文書管理条例制定の後押しができたらと思っております。
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